アマチュア無線の大先輩でSOTA運用にも熱心な"あぶさん"ことJP1QEC局が先日から新しいアンテナを開発されています。
基本的にはEFHWアンテナで1/2λのフルサイズエレメントを端から給電する電圧給電アンテナですが、給電部にパッチンコアのみを使用しているのが特徴です。
通常EFHWと言えばコイルとコンデンサのLCマッチで同調を取りますが、このアンテナはパッチンコアを1:49のトランスとしているだけです。コンデンサやバリコンが不要なので10W以上パワーを入れても問題なさそうです。
あぶさんの書かれた回路図がこちら

14MHz用にエレメント長を9.88mと書かれていますが、エレメント長を変えることで7~28MHzで使えるそうです。
実際にSOTA運用で使用され北米やオーストラリア等とも交信できておられるようで、性能的にはフルサイズダイポールと同等との事です。
制作ビデオがこちら
ギボシ接続エレメントの製作ビデオがこちら
ビデオを見ると制作は簡単ですが、このアンテナを思いつかれたのは、EFHWの場合1/2λのエレメントで虚数分がゼロで最大のインピーダンスの時の値が完全に共振するのではと考えシュミレーションをされたそうです。
因みにその時のインピーダンスは各バンドバラつきはありますが約2500Ωだそうです。
さらにMr.Smithでインピーダンスマッチングの方法を検討した結果、トランスだけで行けるのではとの考察からパッチンコアに7回巻きし、最初の1巻からタップを取り同軸の芯線に、巻始めを編線側に接続することで巻き線比1:7の2乗で1:49のトランスとして実験をされたそうです。
スゴイですね~ 私なんかは言われてみればそうなんだ~ 程度です(^^;)
難しい事は判りませんが(スイマセン)とりあえず作ってみました。

使用したパッチンコアです。
アマゾンで購入
電線はAWG20を使用しました。

トランス自体は7回巻いてタップを取るだけなのですぐにできます。
むき出しなのはチョット・・・という事でフィルムケースに入れる事にしました。

小さいケースに押し込むにしても、そのままでは無理があるのでBNCコネクタの芯線側を削ります。

リューターで削りました。

フィルムケースの蓋に装着。

ハンダ付け

エレメント側とカウンターポイズ側にギボシ端子を付けて完成。

とりあえず机上で可変抵抗を付けて測定。約4.5kΩで同調しました。
ちゃんと動作しているようです。

手元に5mの電線があったので庭木に引っ掛けて測定。

25MHz辺りに同調しているようです。
少しエレメントをカットすれば28MHzで使えそうですが、あまりに寒いので撤収。

室内でのテストですが、エレメントをカットしていき、4.76m(トランスについているエレメントも含む)でバッチリでした。
1/2λが約5.3mですから結構短縮しますね。
あぶさん曰く、周波数が高い程短縮されるようで、7MHzあたりだとほぼ1/2λになるそうです。

因みに50MHzで使えないかとエレメントを調整したところ2.94mで同調しましたが、アナライザーに手を近づけると数値が大きく変わり不安定です。手元にあった70cm程の電線をカウンターポイズとして付けると安定しました。
もう少しカウンターポイズの長さを調整すれば使えるようになるかな?と思いましたが、「コアの周波数特性から入力インピーダンスが正しく変換されなくなり、エレメントが共振しなくなってカウンターポイズに電流が流れているのではないか?恐らく効率が落ちていると思われる。」とのお話をいただいたので、やはり28MHz~7MHzあたりで使うのがいいのかもしれません。
難しい事はよく判りませんが、コアの特性で使用できる周波数も変わるのかな?
今日は時間が無くてエレメントの調整ができませんでしたが、7MHz~28MHzまで使えるようにしたいと思います。
いろんなコアで試してみると面白いかもしれません。
あとどの程度のパワーまで使用できるか耐圧テストなんかもやってみたいですね。
皆でいろいろ実験してみませんか?
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