1200MHz用のBiquad Antennaを調べたり作ってみて判ったこと等を備忘録としてまとめておきます。
これまでに書いた末尾の関連記事の纏めです。
特徴 ループアンテナをパラに繋いでインピーダンスを下げ、さらにリフレクターとの距離を調整することで50Ωにしている。
高ゲインが期待できる。
地面の影響をあまり受けないらしい。
メリット ゲインは10dB以上らしい。(5エレ相当?)
エレメントが一本なので調整が楽。(八木アンテナは私には難しすぎる(^_^;))
同調点はエレメント長に依存、インピーダンスはエレメントとリフレクターの距離で変わりますので調整も判りやすいです。
デメリット 5エレ八木より少々かさばる。
国内では製作例がほとんど無いので海外サイトを読むのが大変(英語わかりません(^_^;))
参考にしたのは
ここ と
ここ 。
設計サイトは
ここ 初回の記事を見たツインクワッドアンテナの作者の方から教えていただきましたが、随分昔ツインクワッドビームアンテナという名称でCQ誌?に記事が記載されていたそうで記事のPDFをいただきました。
大変参考になりました。ありがとうございました。
使用材料 エレメント:直径2mmの銅棒(針金ではありません。)
リフレクター:試作時0.3mm厚の銅板、2回目以降0.5mm厚の銅板
給電部:直径8mmの銅パイプ、3D2V同軸ケーブル、SMAコネクタ
エレメント支持材:プラスチックボルト・ナット
エレメントはφ2mmの針金でも構わないと思いますが、エレメントが曲がると(リフレクター板との距離が変わると)インピーダンスに大きく影響するので柔らかい針金よりも銅棒の方がいいと思います。
因みにエレメントの太さは帯域幅に影響します。
リフレクターは金属であれば何でもいいようです。海外では空き缶を利用したり、銀紙を使ったりしているケースもありました。今回0.5mm厚の銅板を使用しましたが、ハンダの熱が拡散するためか、なかなかハンダ付けできません。
紙フェノールの生基板がハンダ付けしやすそうですし、軽くてしっかりしているので次回製作時は生基板でやってみようと思います。
銅パイプについては海外のサイトでは省略している物もありました。同軸ケーブルの網線を折り返してリフレクター板とハンダ付けしていました。ただ、銅管でシールドしないと高周波的に良くないと書かれたサイトがあったので今回は銅管を使用しました。
SMAの同軸管を使う事も考えましたが、結構なお値段だったのでパス。
設計 〈エレメントサイズ〉
基本的には2λの銅棒を折り曲げて片側1λの四角いループを作るのですが、1200MHzはやはりシビアです。
私の使ったφ2mm銅棒の場合一辺59mm、但し銅管に接続する部分については
55.5mm、全長465mm 57mm、全長468mm。
〈リフレクター板〉
MMANAでのシュミレーション結果では縦の幅は1/2λ(116mm)、横幅1λ(232mm)が一番いいようですが、結構大きいです。
今回はコンパクトにするため横幅を190mmとしました。(190mmの根拠は単に弁当箱サイズにしたかっただけです。)
シュミレーションしてみたところ少しビーム幅が広がりますが、実際に使用してみても多分判らない程度だと思います。
因みにこの状態で垂直偏波です。海外では水平偏波に使う事がほとんどの様で、縦にして使用されています。
この動画はリフレクター板の横幅1λの物ですが、放射パターンはだいたいこんな感じです。
〈エレメントとリフレクター板との距離〉
海外のサイトを見ると基本的には1/8λ(約28.9mm)としていますが、今回作った物は最終的に30mmになりました。
何れも使用する材質によって若干の差が出ると思いますので、多少の誤差はあると思います。
〈固定方法〉
リフレクター板に直接ボルトを刺しホームセンターで購入したL字の金具に固定しています。
一番悩んだところですが、海外のサイトを見ているとリフレクター板に直接ボルトを刺している物が沢山ありました。
エレメントに余計な物が振れるとかなり影響がありますが、リフレクター板はあまり影響なさそうです。
製作 〈エレメント〉
2mm銅棒であれば普通のペンチで問題無く曲げられます。3mmになるとチョット厳しい。
〈給電部〉
銅パイプの長さは3.5cmにカット。
エレメント接続部は半分だけ2mm程ヤスリで削ります。
3D2V同軸にSMAコネクタを装着。
同軸の網線と銅パイプを導通させる為網線を折り返します。
銅パイプに挿入し、網線と銅パイプをハンダ付け。
こんな感じになります。
〈リフレクター〉
銅板の穴あけは最初細いドリルで穴を開け、徐々に太いドリルで開けます。いきなり太いドリルを使うと引っかかって上手く開けられません。怪我することもあります。最後の調整はリーマーで仕上げます。
組立て調整手順 1.リフレクターに給電部を通し、エレメントをハンダ付けします。
銅パイプとエレメントが直角になるよう注意しながらハンダ付けします。何等かの固定具があった方がいいですね。
エレメントの中心を同軸の芯線にハンダ付け。(注:銅パイプと接触しないように)
エレメントの端を銅パイプにハンダ付け。
2.SWR調整
アナライザーを見ながらエレメントとリフレクター板の距離を調整します。
結構ゲインがあるので室内で調整するといろんな反射でよくわからなくなるので屋外で調整する方がいいですね。
同調点はエレメント長に依存します。同調点がかなり下であればエレメントをカット、上であれば延長(作り直し)
多少の調整であればエレメントの横幅をちょっとだけ縮めたり、伸ばしたりすることで調整可能です。
インピーダンスはリフレクター板とエレメントの距離に依存します。
上手く調整できればほぼ50Ω(R50Ω jX0)にできます。
インピーダンスほぼ50Ω
虚数分はほぼゼロ
3.銅パイプのハンダ付け
エレメントとリフレクター板の間隔が決まれば、その位置でハンダ付けします。
ここでもリフレクター板と銅管が垂直になるように注意が必要です。
4.SWR再チェック
ハンダ付けが完了したら再度アナライザーでチェック。
ハンダ付けの際に若干ズレが出ると思いますので、その分はエレメントの角度や横幅等を微調整すればほぼSWR1.0になると思います。
5.エレメントの固定
エレメントが曲がったり外れたりしないように両サイドで固定します。
海外のサイトで一番多い方法はリフレクター板の裏から細い結束バンド通しプラスチックの管の中を通してエレメントを固定していました。
このやり方だとプラスチック管の長さの調整が面倒です。(エレメントとリフレクター板の間隔は性能にかなり影響するみたいなのでなので)
という事でプラスチック(ABS樹脂)ボルトとナットを使い、下から支えるようにしてエポキシ樹脂で固めました。
入手先は
こちら 6.収納方法
海外のサイトを見ているとタッパーの蓋に固定している方が多いみたいです。
SOTA Reflector に参考になる写真が結構ありました。
ただ、タッパーの蓋とリフレクター板をくっつけるとアンテナそのものの固定方法をどうするか上手い考えが浮かばなかったのと、コネクタがタッパーの外に出てしまうとザックの中で引っかかって壊してしまいそうな気がしたので今回はタッパーにそのまま収納しました。(ホームで使うならいろいろできると思いますが、私の場合は山岳移動が前提なので)
■関連記事
Biquad Antenna(調査) Biquad Antenna (試作編) Biquad Antenna (製作編) Biquad Antenna 製作追記 (2019/10/15 追記)
自作してみたいが、給電部の状態を知りたいとの要望がありましたので写真を張り付けておきます。
正面から見たところです。
エレメントの中心の折り曲げたところを同軸の芯線にハンダ付け。
エレメントの両端を銅パイプにハンダ付けしています。
斜め下から見たところです。
真下から見たところです。
同軸芯線にエレメントをハンダ付けする際、エレメントが銅パイプに接触しないように注意してください。
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