軸モードヘリカルアンテナ
- 2019/06/29
- 12:39
ここのところBiquad Antennaの制作ばかりやっていましたが、新たなアンテナにチャレンジしてみました。
1.2GHzのアンテナについてあれこれアドバイスをいただいていた7K1CRZ局から昔懐かしいアンテナを作ってみましたと連絡をいただいたのが「軸方向放射型ヘリカルアンテナ」です。
調べてみると随分昔からあるようですが、現在はあまり一般的では無いようです。(人口衛星等で使われているみたいですけど。)
ネットを検索しても国内ではあまり制作例がありません。
楕円偏波である為、垂直偏波・水平偏波とも受信できるので素性の判らない電波を探るレーダー的な使い方に適しているそうです。
7K1CRZ局から教えていただいたNHK放送用アンテナの実験研究レポートを参考に作ってみました。
〈特徴〉
・偏波面は楕円偏波
(通常の垂直・水平偏波の電波を受信する場合は八木よりも少し不利なようです。)
・ヘリカルの巻き数に比例して利得が増加する。
・かなり指向性が強い。
・非常に広帯域である。
・ラフに作っても再現性が高い。
(八木アンテナのような神経質な調整は全く不要)
・インピーダンスは約130Ω(何らかのマッチング回路が必要)

製作するに当たって、まず最初に考えたのはエレメントをどうするかです。
ヘリカルの一巻きが1λなので1.2GHz帯であれば約23cmです。
10巻きすると2.3mになりますが、普通のホームセンターで入手できる銅棒は1mなので無理。
銅線(針金)なら何とかなりそうですが、移動中にへしゃげてしまいそうです。
併せて考えていたのが、ザックに詰め込んで山へ持っていけるようにコンパクトに分解式にできないかということです。
いろいろ考えた末に昔流行ったスリンキーを試してみることにしました。


記憶にある方も多いのではないでしょうか?私は買ってもらえなかったので友達の家で遊ばせてもらいましたが(^_^;)

実際に購入してサイズを測ってみると内径6.3cm 外形6.8cmです。
一巻きが1λになるようにするには直径7.3cmほど必要なのでちょっと小さいです。
ただ、非常に広帯域なアンテナのようなのでもしかしたら上手くいくかもしれないのでそのまま制作することに。
次にインピーダンスをどうするか。
エレメント自体がコイルになっているので給電部にコンデンサを付けてやれば何とかなるのかな?
と想像していましたが、給電部の後ろにマッチングボックスを作るのは面倒だし、コンデンサの容量をどうするか試行錯誤するのも面倒です。
7K1CRZ局に相談したところ、コネクタの芯線部に2cm×5cmの銅板をハンダ付けし、その銅板にエレメントをつけているとの事。
なるほど反射板と銅板で静電容量を稼いでいるんですね。
先日購入した(アンテナブック)にも同じようなことが載っていました。
ということでマネさせていただくことに。
反射板は生基板を使用。
エレメントを支える棒は当初塩ビ管を考えていましたが、少々太いのでなにかいい物無いかなとホームセンターをウロウロしていると直径1cmのプラスチック棒を発見。

生基板とプラスチック棒を固定する材料を探していると水道のパッキンがありました。

これです。サイズピッタリ。
材料が揃ったので早速製作開始。

反射板は直径1/2λ以上あればいいそうですが、円にするのは難しいので一辺1/2λの正方形にしました。
中心にBNCコネクタを設置する穴を開け、エレメントを支える棒を通す穴を開けます。

コネクタを取り付け、芯線に銅板を半田付け。

銅板にスリンキーを半田付け。(スチールなので問題なく半田が乗りました)

表側だけパッキンをボンドで固定したプラスチック棒を差し込み、裏側からパッキンを差し込んで挟みます。

エレメント(スリンキー)は間隔がおよそ5cmになるようにビヨンと伸ばして先端を輪ゴムで固定。
早速測定します。

なにもしない状態で1554MHz辺りに同調しています。(SWR1.1以下)

1295MHz当たりはSWR2程度です。
銅板を動かして調整してみます。

SWR1.3程度まで落ちました。
反射板とエレメントの間隔が問題みたいです。
一応完成しましたが、エレメントの間隔は思った以上にアバウトで問題なさそうです。
これなら銅線を使って現地組み立てで、多少歪んだりしても問題なく使えそうな気がしました。
という事で銅線バージョンも作ってみました。



スリンキーバージョンも銅線バージョンもR38~39Ω、jχ3~4程度で、SWRは1.3程度です。
これ以上は銅板を動かしてもどうにもなりません。
このままでも使えない事はないですが、もうちょっとSWRを落としたいですよね。
銅板のサイズを変更するしかないなという事で、とりあえず銅板のサイドをカットして幅を狭めてみたところ、さらにインピーダンスが下がってしまいました。
こりゃダメだという事で、幅の広い銅板で作り直しました。

幅3cmの銅板を使いました。

インピーダンスが48Ωまで上がりました。

SWRも1.1以下でかなり広帯域です。\(^o^)/
ただ、アンテナをばらしてケースに格納・運搬すると銅板の角度が変わってしまいそうです。

銅板を斜めに曲げるのではなくかぎ型に曲げて調整し直しました。
これなら搬送中に歪んでも直角になるように戻せば問題なさそうです。

ホームセンターで見つけてきたケースにバッチリ収まりました。
(実験)
とりあえず出来上がったので近所の公園でレピーターへのアクセステストをしてみました。
比較するのは先日購入した5エレツインループです。


スリンキーバージョン
スリンキーが縮もうとするのでリフレクター板が引っ張られて、若干斜めになっちゃいます。

銅線バージョン

軸モードヘリカルはスリンキーバージョンも銅線バージョンもエレメントをビヨンと伸ばしてエレメント間隔が約5cmになるようにするだけでSWRは1.1以下です。

インピーダンスも約53Ω、jχ2程度です。
5エレツインループで送信、帰って来た信号がS7程度のレピーターで実験してみました。
近所のレピーターだと信号が強すぎてよく判らないので、南あわじ市のレピーターにで実験させていただきました。
返ってきた信号の強さは5エレツインループも銅線バージョンの軸モードもほぼ同じ程度。
スリンキーバージョン若干弱かったです。
ビーム幅を見てみようと、リグのSメーターの振れが半分程度になる角度を確認したところ、5エレツインループが約60°
軸モードヘリカル(両タイプとも)が30°~40°程度でした。
普通はビームの切れがいい分ゲインも上がると思いますが、楕円偏波と垂直偏波の違いが出ているのかもしれません。
スリンキーバージョンに関してはやはり直径が小さいことが性能ダウンにつながっているようです。銅線の方がよさそうですね。
今回はヘリカルを10巻としましたが、もう少し巻き数を減らした方がビーム幅が広がって使いやすいかもしれません。
何れにしても八木アンテナと違い、簡単に作れて、再現性が高いのでいいアンテナだと思います。
1.2GHzのアンテナについてあれこれアドバイスをいただいていた7K1CRZ局から昔懐かしいアンテナを作ってみましたと連絡をいただいたのが「軸方向放射型ヘリカルアンテナ」です。
調べてみると随分昔からあるようですが、現在はあまり一般的では無いようです。(人口衛星等で使われているみたいですけど。)
ネットを検索しても国内ではあまり制作例がありません。
楕円偏波である為、垂直偏波・水平偏波とも受信できるので素性の判らない電波を探るレーダー的な使い方に適しているそうです。
7K1CRZ局から教えていただいたNHK放送用アンテナの実験研究レポートを参考に作ってみました。
〈特徴〉
・偏波面は楕円偏波
(通常の垂直・水平偏波の電波を受信する場合は八木よりも少し不利なようです。)
・ヘリカルの巻き数に比例して利得が増加する。
・かなり指向性が強い。
・非常に広帯域である。
・ラフに作っても再現性が高い。
(八木アンテナのような神経質な調整は全く不要)
・インピーダンスは約130Ω(何らかのマッチング回路が必要)

製作するに当たって、まず最初に考えたのはエレメントをどうするかです。
ヘリカルの一巻きが1λなので1.2GHz帯であれば約23cmです。
10巻きすると2.3mになりますが、普通のホームセンターで入手できる銅棒は1mなので無理。
銅線(針金)なら何とかなりそうですが、移動中にへしゃげてしまいそうです。
併せて考えていたのが、ザックに詰め込んで山へ持っていけるようにコンパクトに分解式にできないかということです。
いろいろ考えた末に昔流行ったスリンキーを試してみることにしました。


記憶にある方も多いのではないでしょうか?私は買ってもらえなかったので友達の家で遊ばせてもらいましたが(^_^;)

実際に購入してサイズを測ってみると内径6.3cm 外形6.8cmです。
一巻きが1λになるようにするには直径7.3cmほど必要なのでちょっと小さいです。
ただ、非常に広帯域なアンテナのようなのでもしかしたら上手くいくかもしれないのでそのまま制作することに。
次にインピーダンスをどうするか。
エレメント自体がコイルになっているので給電部にコンデンサを付けてやれば何とかなるのかな?
と想像していましたが、給電部の後ろにマッチングボックスを作るのは面倒だし、コンデンサの容量をどうするか試行錯誤するのも面倒です。
7K1CRZ局に相談したところ、コネクタの芯線部に2cm×5cmの銅板をハンダ付けし、その銅板にエレメントをつけているとの事。
なるほど反射板と銅板で静電容量を稼いでいるんですね。
先日購入した(アンテナブック)にも同じようなことが載っていました。
ということでマネさせていただくことに。
反射板は生基板を使用。
エレメントを支える棒は当初塩ビ管を考えていましたが、少々太いのでなにかいい物無いかなとホームセンターをウロウロしていると直径1cmのプラスチック棒を発見。

生基板とプラスチック棒を固定する材料を探していると水道のパッキンがありました。

これです。サイズピッタリ。
材料が揃ったので早速製作開始。

反射板は直径1/2λ以上あればいいそうですが、円にするのは難しいので一辺1/2λの正方形にしました。
中心にBNCコネクタを設置する穴を開け、エレメントを支える棒を通す穴を開けます。

コネクタを取り付け、芯線に銅板を半田付け。

銅板にスリンキーを半田付け。(スチールなので問題なく半田が乗りました)

表側だけパッキンをボンドで固定したプラスチック棒を差し込み、裏側からパッキンを差し込んで挟みます。

エレメント(スリンキー)は間隔がおよそ5cmになるようにビヨンと伸ばして先端を輪ゴムで固定。
早速測定します。

なにもしない状態で1554MHz辺りに同調しています。(SWR1.1以下)

1295MHz当たりはSWR2程度です。
銅板を動かして調整してみます。

SWR1.3程度まで落ちました。
反射板とエレメントの間隔が問題みたいです。
一応完成しましたが、エレメントの間隔は思った以上にアバウトで問題なさそうです。
これなら銅線を使って現地組み立てで、多少歪んだりしても問題なく使えそうな気がしました。
という事で銅線バージョンも作ってみました。



スリンキーバージョンも銅線バージョンもR38~39Ω、jχ3~4程度で、SWRは1.3程度です。
これ以上は銅板を動かしてもどうにもなりません。
このままでも使えない事はないですが、もうちょっとSWRを落としたいですよね。
銅板のサイズを変更するしかないなという事で、とりあえず銅板のサイドをカットして幅を狭めてみたところ、さらにインピーダンスが下がってしまいました。
こりゃダメだという事で、幅の広い銅板で作り直しました。

幅3cmの銅板を使いました。

インピーダンスが48Ωまで上がりました。

SWRも1.1以下でかなり広帯域です。\(^o^)/
ただ、アンテナをばらしてケースに格納・運搬すると銅板の角度が変わってしまいそうです。

銅板を斜めに曲げるのではなくかぎ型に曲げて調整し直しました。
これなら搬送中に歪んでも直角になるように戻せば問題なさそうです。

ホームセンターで見つけてきたケースにバッチリ収まりました。
(実験)
とりあえず出来上がったので近所の公園でレピーターへのアクセステストをしてみました。
比較するのは先日購入した5エレツインループです。


スリンキーバージョン
スリンキーが縮もうとするのでリフレクター板が引っ張られて、若干斜めになっちゃいます。

銅線バージョン

軸モードヘリカルはスリンキーバージョンも銅線バージョンもエレメントをビヨンと伸ばしてエレメント間隔が約5cmになるようにするだけでSWRは1.1以下です。

インピーダンスも約53Ω、jχ2程度です。
5エレツインループで送信、帰って来た信号がS7程度のレピーターで実験してみました。
近所のレピーターだと信号が強すぎてよく判らないので、南あわじ市のレピーターにで実験させていただきました。
返ってきた信号の強さは5エレツインループも銅線バージョンの軸モードもほぼ同じ程度。
スリンキーバージョン若干弱かったです。
ビーム幅を見てみようと、リグのSメーターの振れが半分程度になる角度を確認したところ、5エレツインループが約60°
軸モードヘリカル(両タイプとも)が30°~40°程度でした。
普通はビームの切れがいい分ゲインも上がると思いますが、楕円偏波と垂直偏波の違いが出ているのかもしれません。
スリンキーバージョンに関してはやはり直径が小さいことが性能ダウンにつながっているようです。銅線の方がよさそうですね。
今回はヘリカルを10巻としましたが、もう少し巻き数を減らした方がビーム幅が広がって使いやすいかもしれません。
何れにしても八木アンテナと違い、簡単に作れて、再現性が高いのでいいアンテナだと思います。
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