2m用バンドパスフィルターの制作(失敗)
- 2020/12/31
- 14:28
先日入手した2mリニアアンプですが、2次高調波、3次高調波と50MHz付近にもスプリアスがでていると思い、バンドパスフィルターを製作しました。
昨日の記事にも書きましたが、実際には測定状態が悪く、スプリアスが大量に出ているように見えていただけでしたけど(^^;
あまり特性の良くない失敗作ですので参考にはならないと思いますが、私の備忘録として書いています。
まず設計から。
フィルターの制作には以前HFのローパスフィルター制作時に使ったこちらのサイトを今回も使いました。
バンドパスフィルターも簡単に計算結果を出してくれますが、コンデンサーの値が市販されているような物ではありません。
受信用ならトリマコンデンサとかでなんとかなりそうですが、そこそこの耐圧が必要だと思うのでチョット無理そうです。
という事でローパスフィルターとハイパスフィルターを組み合わせる事にしました。
〈設計〉
ローパスフィルター(Chebyshev7Poles) カットオフ(-3dB)160MHz → 280MHzで-50dB程
ハイパスフィルター(Chebyshev5Poles) カットオフ(-3dB)120MHz → 50MHzで-48dB程
計算サイトで出てきた値をLTspiaceに入力してシュミレーション。

まずはローパスフィルターから。
計算サイトで出てきた数値を市販のコンデンサで近い値の物に置き換え、コイルの値をいじって調整。
操作方法がイマイチ判らないので間違ってるかもしれませんが、計算サイトとほぼ同じようになったので多分合ってるんでしょう。

次にハイパスフィルター

LPFとHPFをつなげてみました。
50MHz付近で-48dB、第2高調波の288MHz付近で-47dB程になってます。
それにしても便利になりましたね。大した知識が無くても簡単に設計・シュミレーションまで出来てしまうんですから。(^^)
コンデンサやケース等、発注していたものが届いたので制作開始。

生木版をアクリルカッターで加工。

コンデンサは余分に購入し、容量を測定して良さそうな物をチョイスして半田付け。
で、ここからが大変です。
コイル制作です。
LTspiceで出てきた値にするにはどの程度巻けばいいか判らなかったので、MMANAのツールオプションに空芯コイルの計算をしてくれる機能があるのでこれを使いました。

算出された値を参考に銅線をドライバーの軸に巻いてでコイルを作ってみました。

そして測定


失敗作達。
0.05pFとか、かなり小さな値なので、すごく微妙です。
当初コイルのサイズを小さくするために蜜巻にして作っていましたが、これだと微妙な調整が難しい事に気づき、巻き数を増やして線間隔を広げました。

これなら装着後も伸ばしたり、縮めたりできます。
早速半田付け開始。

LPF側のコイルを半田付けした段階で、このままHPF側も作ってしまうと、出来上がった段階で測定して上手くいかなかった時、どこが悪いのかわからなくなるなと思い、一旦ローパスフィルターのみ測定してみることに。

HPF側のコンデンサは外し、コネクタを仮設。

かなり下の方から減衰が始まっていました。
LTspiceで確認したところ、L値が高すぎるのだろうと判断してコイルを広げると、減衰開始周波数が上がってきたので、そのまま調整を続けましたが調整しきれませんでした。
結局144.3MHzで-1.5dBなので、これではだめですね。
コイルの作り直しです。(^^;

気を取り直して再度コイルを作り半田付け。

今度は上手くいきました。

続いてハイパスフィルター側も半田付け。

測定してみると、なかなかいい感じ。
144MHzのロスが-0.8dB
50MHzでの減衰が-48dB
280MHzでの減衰が-56dB
ただ280MHzより上が跳ね上がってますが・・・。

拡大してみました。
144~146MHzは-0.8dB
カットオフ(-3dB)は下が122MHz、上が167MHz

タカチのSW130を加工して納めました。

完成。
で、早速リニアアンプに装着してスプリアス測定したところ、昨日の記事の通り、全くスプリアスが減らずあれこれ悩んでツイッターで「なんでだ~」と呟いたら、方々からいろいろご指導いただきました。
まず、JH0CJH局からグランドをもっとしっかりとった方が良い。

イメージ図
次いで7L4WVU局からはシールド不足の指摘。
まず、フィルターの特性を500MHzまで広げて見るように言われました。

上の方がかなり暴れているのはシールドが無いからとの事。

シールドのイメージ図
VUHFは裸では特性が出ないそうです。段間のシールドと全体のシールドボックスが無いと入出力で結合してしまうんだとか。
部屋をゴソゴソしたら厚さ0.3mmの銅板がでてきたので、これでシールドボックス作成とグランドをしっかりとるようにしてみました。

まず、シールドケースを加工します。

仕切り板を半田付け。

隙間は全てハンダで埋めました。

次にグランド用の銅板切り出し。穴あけが結構大変。

グランド用の銅板を半田付け。

シールドを上からかぶせて、周囲をハンダで埋めました。

タカチのケースに収めて完成。
で、測定してみました。

ほとんど変わりませんでした。若干改善程度です。
右端のピークのところでもー30dB程になっているので、フィルターとしての効果はそれなりにあると思いますが・・・・。
7L4WVU局によれば、シールドはまず各段間と周囲を囲むように作り、効果があればその上に蓋をするのがセオリーだそうです。
今回、先にシールドケースを作ってしまってたので段間の仕切り版の下は半田付けされていません。
ちゃんとシールドの効果を確認しながら作る必要があるんですね。
今回は結局あまり良い物にはなりませんでしたが、かなり色々と勉強になりました。UHF帯の難しさがよく解りました。
また材料をそろえて作り直したいと思います。
(2020/1/3追記)
今日は朝からフィルターの再作成をしていました。
が、やっぱりダメでした。
240MHz辺りを底にして、そこから上の周波数の減衰量が落ちるのでローパスフィルターの問題だろうと考え、とりあえずローパスフィルターだけをシールドしてみることにしました。

今回はマイカコンデンサを使ってみましたが、デカすぎて上手く収まらず、何度かやり替え(^^;

銅板で仕切りを作成し、ハンダで隙間を埋めました。
むき出しの状態と仕切りをハンダ付けした状態でそれぞれ測定してみましたが、ほとんど変化なし。

上蓋もハンダ付けし、シールド完成。
で測定した結果が以下の通り。
まずむき出しの状態

マーカー1:145MHz -0.38dB
マーカー2:240MHz -61dB
マーカー3:280MHz -46dB
マーカー4:350MHz -31dB
次に周囲を囲っただけの状態

ほぼ変わりなし。
最後にシールド完成後の測定

マーカー1:-0.69dB
マーカー2:-60dB
マーカー3:-45dB
マーカー4:-30dB
やはりUHF帯より上の周波数は難しいですね。
チョット私の手には負えそうもないです。
材料も無くなったので深追いは止めておこうかな。
昨日の記事にも書きましたが、実際には測定状態が悪く、スプリアスが大量に出ているように見えていただけでしたけど(^^;
あまり特性の良くない失敗作ですので参考にはならないと思いますが、私の備忘録として書いています。
まず設計から。
フィルターの制作には以前HFのローパスフィルター制作時に使ったこちらのサイトを今回も使いました。
バンドパスフィルターも簡単に計算結果を出してくれますが、コンデンサーの値が市販されているような物ではありません。
受信用ならトリマコンデンサとかでなんとかなりそうですが、そこそこの耐圧が必要だと思うのでチョット無理そうです。
という事でローパスフィルターとハイパスフィルターを組み合わせる事にしました。
〈設計〉
ローパスフィルター(Chebyshev7Poles) カットオフ(-3dB)160MHz → 280MHzで-50dB程
ハイパスフィルター(Chebyshev5Poles) カットオフ(-3dB)120MHz → 50MHzで-48dB程
計算サイトで出てきた値をLTspiaceに入力してシュミレーション。

まずはローパスフィルターから。
計算サイトで出てきた数値を市販のコンデンサで近い値の物に置き換え、コイルの値をいじって調整。
操作方法がイマイチ判らないので間違ってるかもしれませんが、計算サイトとほぼ同じようになったので多分合ってるんでしょう。

次にハイパスフィルター

LPFとHPFをつなげてみました。
50MHz付近で-48dB、第2高調波の288MHz付近で-47dB程になってます。
それにしても便利になりましたね。大した知識が無くても簡単に設計・シュミレーションまで出来てしまうんですから。(^^)
コンデンサやケース等、発注していたものが届いたので制作開始。

生木版をアクリルカッターで加工。

コンデンサは余分に購入し、容量を測定して良さそうな物をチョイスして半田付け。
で、ここからが大変です。
コイル制作です。
LTspiceで出てきた値にするにはどの程度巻けばいいか判らなかったので、MMANAのツールオプションに空芯コイルの計算をしてくれる機能があるのでこれを使いました。

算出された値を参考に銅線をドライバーの軸に巻いてでコイルを作ってみました。

そして測定


失敗作達。
0.05pFとか、かなり小さな値なので、すごく微妙です。
当初コイルのサイズを小さくするために蜜巻にして作っていましたが、これだと微妙な調整が難しい事に気づき、巻き数を増やして線間隔を広げました。

これなら装着後も伸ばしたり、縮めたりできます。
早速半田付け開始。

LPF側のコイルを半田付けした段階で、このままHPF側も作ってしまうと、出来上がった段階で測定して上手くいかなかった時、どこが悪いのかわからなくなるなと思い、一旦ローパスフィルターのみ測定してみることに。

HPF側のコンデンサは外し、コネクタを仮設。

かなり下の方から減衰が始まっていました。
LTspiceで確認したところ、L値が高すぎるのだろうと判断してコイルを広げると、減衰開始周波数が上がってきたので、そのまま調整を続けましたが調整しきれませんでした。
結局144.3MHzで-1.5dBなので、これではだめですね。
コイルの作り直しです。(^^;

気を取り直して再度コイルを作り半田付け。

今度は上手くいきました。

続いてハイパスフィルター側も半田付け。

測定してみると、なかなかいい感じ。
144MHzのロスが-0.8dB
50MHzでの減衰が-48dB
280MHzでの減衰が-56dB
ただ280MHzより上が跳ね上がってますが・・・。

拡大してみました。
144~146MHzは-0.8dB
カットオフ(-3dB)は下が122MHz、上が167MHz

タカチのSW130を加工して納めました。

完成。
で、早速リニアアンプに装着してスプリアス測定したところ、昨日の記事の通り、全くスプリアスが減らずあれこれ悩んでツイッターで「なんでだ~」と呟いたら、方々からいろいろご指導いただきました。
まず、JH0CJH局からグランドをもっとしっかりとった方が良い。

イメージ図
次いで7L4WVU局からはシールド不足の指摘。
まず、フィルターの特性を500MHzまで広げて見るように言われました。

上の方がかなり暴れているのはシールドが無いからとの事。

シールドのイメージ図
VUHFは裸では特性が出ないそうです。段間のシールドと全体のシールドボックスが無いと入出力で結合してしまうんだとか。
部屋をゴソゴソしたら厚さ0.3mmの銅板がでてきたので、これでシールドボックス作成とグランドをしっかりとるようにしてみました。

まず、シールドケースを加工します。

仕切り板を半田付け。

隙間は全てハンダで埋めました。

次にグランド用の銅板切り出し。穴あけが結構大変。

グランド用の銅板を半田付け。

シールドを上からかぶせて、周囲をハンダで埋めました。

タカチのケースに収めて完成。
で、測定してみました。

ほとんど変わりませんでした。若干改善程度です。
右端のピークのところでもー30dB程になっているので、フィルターとしての効果はそれなりにあると思いますが・・・・。
7L4WVU局によれば、シールドはまず各段間と周囲を囲むように作り、効果があればその上に蓋をするのがセオリーだそうです。
今回、先にシールドケースを作ってしまってたので段間の仕切り版の下は半田付けされていません。
ちゃんとシールドの効果を確認しながら作る必要があるんですね。
今回は結局あまり良い物にはなりませんでしたが、かなり色々と勉強になりました。UHF帯の難しさがよく解りました。
また材料をそろえて作り直したいと思います。
(2020/1/3追記)
今日は朝からフィルターの再作成をしていました。
が、やっぱりダメでした。
240MHz辺りを底にして、そこから上の周波数の減衰量が落ちるのでローパスフィルターの問題だろうと考え、とりあえずローパスフィルターだけをシールドしてみることにしました。

今回はマイカコンデンサを使ってみましたが、デカすぎて上手く収まらず、何度かやり替え(^^;

銅板で仕切りを作成し、ハンダで隙間を埋めました。
むき出しの状態と仕切りをハンダ付けした状態でそれぞれ測定してみましたが、ほとんど変化なし。

上蓋もハンダ付けし、シールド完成。
で測定した結果が以下の通り。
まずむき出しの状態

マーカー1:145MHz -0.38dB
マーカー2:240MHz -61dB
マーカー3:280MHz -46dB
マーカー4:350MHz -31dB
次に周囲を囲っただけの状態

ほぼ変わりなし。
最後にシールド完成後の測定

マーカー1:-0.69dB
マーカー2:-60dB
マーカー3:-45dB
マーカー4:-30dB
やはりUHF帯より上の周波数は難しいですね。
チョット私の手には負えそうもないです。
材料も無くなったので深追いは止めておこうかな。
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