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ギボシダイポールの制作について

逆Vダイポールアンテナや、ギボシアンテナについて、上手くできないと聞くことがありますので私の経験上の注意点等を記載したいと思います。

とりあえずダイポールのおさらいから。
通常の水平に張ったダイポールアンテナはインピーダンスが約72Ω程なのでそのまま給電するとSWRは1.5程度になります。
V型にするのは折る事でインピーダンスを50Ωに近づけているわけですが、給電点の高さによって50Ωになる角度が変わります。
MMANA等のアンテナシュミレーションソフトで角度と高さをを変えてみるとインピーダンスがどのように変化するのが判ると思います。

例えば21MHzの逆Vダイポールを給電点の高さ8mでシュミレーションしてみます

IVDP制作法/8mH放射パターン
8の字特性がハッキリ出てサイドはよく切れます。打ち上げ角は約27°ゲインは7.26dBi程になりました。
ダイポールは1/2λ+αの高さにすることで、DX向きのアンテナになります。逆に低くすると打ち上げ角が真上になりますので、国内向けとなります。

この時のエレメントの状態は下図の通り
IVDP制作法/114°
逆Vの開き角は114°、エレメントの長さは3.525mと出ました。

このアンテナをそのまま給電点の高さを7mにすると下図の通り
IVDP制作法/7mH放射パターン
インピーダンスはZ:62.966 -j1.831 となり、SWRは1.3となりました。
Zが約63Ωですので、逆Vの開き角をもう少し小さく(狭く)する必要があります。
また虚数分がマイナス1.83程度ですのでエレメントの長さが足りていません。

この高さ(7mH)で最適化した場合の放射パターンが下図
ギボシDP/最適化

この時のエレメントの状態は下図の通り。
IVDP制作法/90°
開き角は90°、エレメント長は3.56mと長くなりました。
シュミレーションソフトでは少し極端な変化が出ますが、実際に制作する場合はそれ程でもない気がしますが。
ただ、給電点の高さと逆Vの開き角は上記のような変化をすることを頭に置いておく事が必要です。
また、ギボシダイポールを作る場合、高さを固定することが多いと思いますが、そうすると開き角、エレメント長の関係はバンドによって変わります。
言い換えれば各バンドとも給電点を1/2λや1/4λ等一定の基準にすれば開き角を固定することができます。(各バンドの高さをイチイチ変えるのは現実的では無いですが)

実際に28MHz~7MHzのギボシダイポールを作る場合、エレメントの短い28MHzから調整していきますが、28MHzの最適な開き角と7MHzの最適な開き角は違うという事になります。

給電点8mでの7MHzをシュミレーションした場合は下図のようになります。
IVDP制作法/7MHz150°
経験的には28MHz~21MHzは同じ開き角でぼ問題無いですが、18MHz辺りから角度を調整しながら制作した方が良いと思います。
エレメントは両端をロープで引っ張り、適当な木などに固定ししますが、この時「張り綱結び」等にしておくと、簡単にロープを緩めたり、張ったりすることで角度調整できます。(エレメントは真っすぐピンと張っていなくても大丈夫です)

〈制作編〉
ギボシダイポールを作るのは結構時間がかかります。初めて6m~40mのギボシダイポールを作った時は8時間程かかりました。
事前にある程度作り込んでおいた方がいいですが、エレメントを切り出すのは1/4λ×1.1程度の長さで準備するのが良いと思います。使用する電線によって短縮率が違いますので一概には言えませんが、思った以上に切り詰める事になって、下の方のバンドでは長さが足りないなんて事も出てきますので、ローバンドはもう少し余裕をもってもいいかもしれません。

ギボシ端子の固定方法は皆さん様々工夫されていますが、私の場合は下の運用編の写真にあるように百均で買ってきたPPシートをカットした物を使用しています。柔軟性もあって丈夫です。0.7mm厚の物であればハサミで切れますし、パンチで簡単に穴もあけられます。

アンテナアナライザーはインピーダンスと虚数分も見れる物があると重宝します。
インピーダンスの高低で開き角の適・不適が判りますし、jχが+表記だとエレメントが長すぎる、-表記だと短すぎるという事が判ります。
SWRだけの物でも慣れてくれば大体判断付きますが。

ギボシ端子を付ける際は端子の長さも注意が必要です。特にハイバンドでは1cmの長さで同調点が変わります。
24MHzはバンド幅が狭いので折角バンド内に同調点をもってこれたのにギボシ端子を付けたら同調点がバンド外に下がったなんて事になります。少しの事なのでSWR1.0が1.05程度になるだけですが、気になる場合は調整後のエレメントをさらに端子の長さ分だけカットしてから鉸めます。

IVDP制作法/端子
逆に、あと一寸と思って切ったら切り過ぎだったなんて事もありますが、この場合そのままギボシ端子を鉸めれば端子分伸ばせます。

〈運用編〉
出来上がったギボシダイポールを実際に使う際には作った時と同じ高さ、角度で設置することが重要です。(バンド毎に角度も調整)
平地であればそれほど難しいことでは有りませんが、私の様に山の上で設置しようとすると地面に傾斜があったりして、なかなか同じように張る事が出来ません。
SWRが高ければ角度を調整してやることで下がると思います。
ただ、実際には樹木が生い茂っていたりして角度調整が難しい事もあります。
先のシュミレーションでも出てきましたが、角度によってエレメントの長さも変ります。
なので、角度が大きくなっている時はエレメントの端を折り返してテープで巻く(短くする)ことである程度SWRは下げられます。逆に鋭角になっている時はエレメントを追加してやります。(そのために5cm刻みの延長エレメントを数本持って行ってます)

IVDP制作法/ギボシ
ギボシ端子の接続部はインシュロックで固定される方も居られますが、私の場合はエレメントを短くする時の為に結んでいるだけです。これなら簡単に解いて折り返す事ができます。

IVDP制作法/鋭角
この様な場所で設置すると、どうしても鋭角にならざるを得ません。
インピーダンスが低くなりすぎますが、エレメントを延長することでSWRも使用可能な範囲まで落とせる事が多いです。

IVDP制作法/吊るし
あと、ダイポールで運用する際は制作した時に使ったポールは持参しますが、同じ高さの木の枝が有る場合はロープを枝に引っ掛けて、給電点を引っ張り上げるようにしています。
こうするとロープを緩めるだけでアンテナを降ろせるため、バンドチェンジが楽にできます。

とりあえず思いつく事を記載しましたが、また何か思い出したら追記いたします。
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プロフィール

かつお

Author:かつお
3.11震災を機にアマチュア無線を始めました。
私立文系出身、事務方サラリーマンなので理屈は分からないですが、「とりあえずやってみる」であれこれ実験して遊んでます。

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